Case Study

「震災に関連する法律問題(3)」

今回は、借地上の建物が、震災などにより倒壊・滅失した場合について検討します。
 地震や津波などで借地上の建物が完全に形を無くした場合(滅失)に、新たに土地所有者となった第三者などに対して、どのような手段で借地に借地権があることを示せばいいでしょうか。震災などの場合には、地主側が所在不明になるなどして、証明することが困難になることがあります。この点に関しては、以下のような考え方をすることになります。
 まず、借地権(細かく言うと地上権と賃借権)が、借地である土地に登記されている場合には、建物が現存するかどうかに関係なく、第三者に対して借地権の存在を対抗できます。しかし実際には、このような登記がなされていることはほとんどありません。
 そこで、借地借家法は、借地権の登記がなくても、借地権者がその借地の上に登記された建物を所有していれば、その借地権を第三者に対抗できるとしています(同10条1項)。建物の存在を登記することにより、土地への登記を代替し、また建物が現存すれば、借地権の存在を推定できるという考えです。
 ただ、登記なしにその対抗力を有するためには、建物の登記名義が借地権者と一致していなければならず、判例でも、建物の所有名義が借地権者と同居する未成年の長男だった場合には、その後土地を取得した第三者に対抗することができないとしています。
 また、建物登記の所在地番や建物の床面積などが実際の現況とは異なっていた場合や、錯誤や遺漏によりその記載が実際と多少相違していても建物の同一性を認識できるような場合には、登記があったものとして、第三者に対抗できるとした判例があります。
 しかし、実際に建物が消滅してしまった場合には、建物の登記自体が意味を為さなくなってしまうため、第三者に対抗できなくなってしまうのではないか、あるいはすぐに建物を建築しなければならないのかという心配があります。
 これについては、同10条2項で、対抗要件を失うことがないようにする方法が示されており、借地権者が、その借地上の見やすい場所に、「建物を特定するために必要な事項」「滅失のあった日」「建物を新たに築造する旨」を掲示する(明認方法)というものです。この掲示の効力は、建物滅失の日から2年間に限られますので、2年が経過するまでの間に、建物を再築し、登記をしておけば、借地権は守られるということになります。
 また、戦後の復興を目的として昭和27年8月制定された罹災都市借地借家臨時理事処理法は、震災により滅失した建物に、登記がなく、明認方法がない場合でも、対抗要件を有するとして、借地権の保護をしています。この法律は、政令で定められた地域にのみ適用されるものであり、今回の震災にも適用が検討されていたところ、今年の9月30日に、法務省及び国土交通省の協議により、適用されないことが決まりました。