Case Study

「会員権の相続」

一般に「会員権」と総称されているものにも、様々な種類があります。例えば、アスレチッククラブやスパなどのスポーツ施設や、リゾートマンション、あるいはゴルフクラブの会員権などです。
 これらのような特定の施設の優先的・継続的な利用等を目的として会員になるには、施設の経営者との間で入会契約を結んで、会員権を取得します。
 保証金の多寡や会員権の価額などからみると、アスレチッククラブの会員権などは、保証金があるものはほとんどなく、また会費も安いので、その財産価値からも、相続の問題はあまり発生しません。
 しかし、リゾート会員権などは、施設(不動産)の所有権について持分を共有するものも多く有り、共有の持分権の購入費用と、保証金としての預託金が必要とされます。施設を年に何回、あるいは何泊まで利用できるなどとの会員規則により、利用権を会員相互間で行使しあうものが多く見られます。リゾート会員権の会員が亡くなった場合には、施設の共有持分権は相続されますが、利用権については、相続の場合には会員権は引き継がないとの会員規定がある場合には、利用権は無くなり、保証金の返還請求権を相続人が行使することになると考えられます。但し、このような会員権はわりと新しいものですので、これまで相続の問題が生じたり論じられたりした事例はあまりありません。
 ところで、ゴルフクラブの会員権の場合には、多岐にわたり法的な問題が論じられ判例なども多数有ります。
 ゴルフクラブの会員権の種類には、株主制クラブなど特殊なものもありますが、その殆んどは預託金制になっています。預託金制の会員権では、会員が死亡した場合に、施設利用権やプレー権、また預託金返還請求についての相続問題が発生します。
 ある判例では、預託金制のゴルフクラブの会員規約に、「会員が死亡した場合にはその資格を失う」旨の記載がある場合には、その会員たる地位は一身専属的なものであり、相続の対象とはなり得ないとしています。そのため、父親がゴルフクラブの会員権を有していたとしても、父親の死亡後に、相続人である子供がゴルフクラブの会員として施設を利用することは、当然には認められないということになります。
 また、これに対して、ゴルフクラブの会員規約に、会員が死亡した場合の相続に関する定めがない場合でも、会員権の売買等による譲渡が認められているのであれば、会員の固定性が放棄されているとの判断から、クラブ理事会の承認を条件として相続を認める、という最高裁の判例もあり、事案ごとに結論が異なり、一定していないのが現状です。
 しかし、会員権自体が相続されないとしても、それは施設利用権やプレー権を指しているのであり、預託金の返還請求権については相続され、相続権を証明する人が預託金の返還を請求すれば、ゴルフ場の施設の経営者はそれを拒否できません。