Case Study

「更新料」

 店舗・マンションなどの賃貸借契約等では、更新に際し、更新料の授受を定める契約がしばしば見られます。例えば、2年の契約期間満了時に、更新料として家賃1ヶ月分相当を賃借人が支払う、との合意が為されている場合などです。
 まず、更新料とは一体何か、という根本的な疑問がありますが、これは更新料の法的性質の問題です。
 賃貸人が契約の更新に応じる対価ということで、更新料は賃料の前払いであるという考え方が多くあります。この考え方ですと、更新した賃貸借契約では、月々の家賃のほかに、更新料としての家賃1ヶ月分の前払い額と、更新料の運用利益と、更新された期間に応ずる償却額が、貸主の経済的利益ということになります。これらをあわせて、実際実質賃料という場合があります。
 それでは、更新料についての支払いの合意があれば、賃借人は必ずこれを支払わなければ更新できないのでしょうか。
 更新料は、基本的に、賃貸借契約書に支払いの合意が定められていれば、特に過大な金額でない限り、1ヶ月分の家賃程度の場合は通常有効とされており、更新の際に賃借人がこの支払いを免れることは、余程のことが無い限り困難です。
 借地借家法では法定更新の定めがあるため、賃借人が、更新料の支払いをしなくても契約は更新されると主張することも出来ますが、合意されている更新料の支払いをしない賃借人に対しては、更新拒絶の正当事由が存在しますので、結局のところ賃貸人から解約されることとなります。
 賃貸借契約の更新を数回繰り返し、毎回合意により、更新料を支払っていた賃借人が、賃貸人に対して支払い済みの更新料の返還を求めた裁判の判決が、近時出されました。この事件では、賃料が1ヶ月4万5000円、1年毎の更新で、更新料が10万円と定められていましたが、5回更新したため計50万円を支払った更新料について、これを不当利得であるとして賃借人が返還請求を提訴したものです。
 この判決では、更新料の法的性格は明確にせずに、賃貸人が不動産賃貸業を営んでおり、賃借人との間に物件や市場についての大きな情報格差があることなどから、消費者の保護を定めた消費者契約法10条の適用を認め(消費者の利益を一方的に害しているとの判断)、金40万円の更新料の支払いの返還を認めました。
 契約により更新料についての合意があっても、更新料の併用により家賃を一見少なく見せているなど、消費者の利益を一方的に害している疑いがある場合には(この判例はあくまでも個別の事件としての結論であり、更新料の特約が一般に無効であるということではありません)、返還請求が出来ることがあります。