Case Study

「借地契約の更新料」

借地契約は、契約期間が20年や30年など相当な長期になっているのが一般的であるため、借地契約書の中には、次回の契約の更新についてその条件等を定めていないものもあります。
このような場合には、借地契約の更新時に、貸主(地主)が更新料の請求をしても借主(借地人)に支払いを拒否されるなど、問題になる事例が多々みられます。
また、借地契約の更新料は、土地の時価の△%などという基準で決められることが多いため、都心部などでは相当な高額となり、貸主・借主間で大きな問題になることがあります。
 借地契約の更新料について争われた判例としては、次のようなものがあります。
貸主が、借主(会社)との間で、銀座の土地について、期間30年の借地契約を締結していたところ、借主に会社更生手続が開始、認可され、更新時期をまたいで、新会社が借主の地位を承継しました。そこで、貸主は、更新時の更新料及び譲渡承諾料として、新借主に対し3億3000万円あまりの支払いを求め、提訴しました。
この件では、銀座地区において、更新料の支払いの慣習が存在するかどうか、という点が争点の一つとなりました。
これについて裁判所は、銀座地区では更新料が支払われる例が多くみられるものの、条件等の協議に基づいた合意の結果、支払われているものであるから、当事者間の支払合意が存在しないにもかかわらず、慣習あるいは慣習法に基づき支払いがなされたという事実は認めることが出来ないとして、借主の更新料の支払い義務がないと認定しました。
また、それまでに3回の更新を経ていて、最初の更新時に更新料を支払ったとして、貸主が時価の5%の更新料の支払いを求めたケースでは、裁判所は、契約書に更新に関する定めがない以上、貸主の請求があれば当然に借主に支払い義務が生じるという商習慣や慣習が存在するとは言えないと認定し、請求を棄却しています。
なお、「契約満了時に借主が契約の更新を希望するときは、土地の時価の2割の範囲内の更新料を貸主に支払う」などの特約が契約書上あった場合でも、貸主・借主間で、この条件下での更新の合意が成立していない場合には、判例では、「法定更新」がされたという事実認定をして、法定更新にはこの特約の適用はないという判断の下、貸主の請求を棄却しています。
別の判例でも、前回の更新の際に借主が更新料の支払いをしていたとしても、契約書に、次回の更新の際にも更新料を支払う旨が明示されていなければ、法定更新がなされた場合には、やはり「更新料支払いの合意」があったとは言えないとして、貸主の更新料の請求を認めませんでした。
このように、判例などの見解では、法定更新では、更新料の請求を認めることは殆どありませんので、借地契約書を作成する場合には、記載内容に注意が必要です。