Case Study

「建物賃貸借の原状回復義務」

建物賃貸借契約に関して頻発するのが原状回復の問題です。
建物(店舗、住居、部屋など)を借りた人は、使用に際しては善良な管理者の注意を持って使用しなければなりません。賃借人が、善管注意義務を果たした上で、通常に使用を続けることによって生じた損耗については原状回復義務がないとされ、それ以外については原状回復義務があるとされるのが基本的考え方です。
具体的には、①建物設備などの自然的劣化・損耗(経年変化)、②賃借人の通常使用による損耗、例えば、畳・クロスなどの変色・色落ち、壁のポスターの跡、エアコンの壁穴、画鋲跡などは、原状回復義務が無いとされています。
一方、賃借人の善管注意義務違反や故意・過失など、①②以外の損耗・毀損には、原状回復義務があるとされております。例えば、手入れが悪い台所の油汚れ、クーラーの水漏れ放置によるしみ、風呂の異常な水垢などは原状回復義務があります。
裁判で争われた場合は、事実認定の問題となり、裁判所がその損耗の判断をすることになります。賃貸借期間が長期の場合は、経年変化や通常の使用による損耗と判断され、原状回復義務を負わない場合が多くなります。原状回復義務については、上記基準以外の特約も有効とされており、むしろ裁判上の問題は、原状回復義務の特約をめぐって争われる場合が多くなっています。
原状回復についての問題については、国土交通省住宅局㈶不動産適正取引推進機構から、「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」という役立つ小冊子が発行されておりますので、参考にして下さい。