Case Study

「建物賃貸借の敷金、礼金、保証金」

マンションや店舗等を借りようとすると、契約書では、敷金、礼金、保証金等のさまざまな費用を家主に支払わなければならない約定になっていますが、「支払ったものは契約終了時に戻ってきますか。それは全額ですか、一部ですか」という質問があります。そこで今回はその法的性質の理解について。
 敷金は、「借主が賃貸借契約中に発生させることがある未払賃料などの債務を担保するため、家主に交付される金銭」と定義され、借主が賃借物件を明け渡したときに、未払賃料などと清算され、残額が借主に返還されます。この点についての理解は判例などに争いがありません。
 それでは礼金はどうでしょうか。礼金という名前で、不動産業者に支払われるものは、「不動産仲介の手数料」である場合があります。ここでは、それ以外に、借主から家主に支払われる「礼金」が問題です。礼金の法的性質は、一般に「権利金」であるといわれ、①営業ないし営業上の利益の対価、②賃料の一括前払いの性質を有する場合、③場所的利益の対価、であるとされます。権利金は、通常は賃貸期間の期間満了による終了を予定し、その対価とされているので、通常の終了の際には、借主の返還請求は認められません。
①の営業用の店舗の権利金は多額のものが多く、途中解約の場合にはどのくらい返してもらえるか問題になります。判例では、賃貸借の期間の定めが在る場合の中途解約については、残存期間の割合に応じた権利金の返還を認めています。期間の定めの無い賃貸借契約の場合には、返還は認められません。
 最近、多くの事務所や店舗の賃貸借契約書には「保証金」の定めがありますが、これは上記敷金の性質を有するものが多いと理解されています。ただ、著しく高額のものは、建設協力金や貸金の性質を有するものがあるとされ、その場合は、賃貸借終了後も、家主が長期の分割払いで借主に返還するという合意があったりします。
敷金の性質を有する保証金は、賃貸借終了時に、賃料不払いなどの担保以外の部分で、10%ないし25%の償却を合意する場合が多く見受けられ、その合意も有効と解されています。そこで償却後、未払債務と相殺され、明け渡しを条件として、家主から借主に残額が返されることになります。