Case Study

「セクハラの責任」

いわゆるセクハラの典型的なものは、職場の上司等が女性社員等に対して行う、言葉によるもの(卑猥な言葉を言う、交友関係を詮索して言いふらすなど)や、行動によるもの(体に触る、性的行為を強要するなど)であると考えられ、程度にはそれぞれ違いがあるものの、いずれも人格権の侵害(名誉、プライバシーなど)や強制わいせつなどとして、そのような行為をした者に対しては、民事上の不法行為として損害賠償責任を問える事になります。
また、職場の上司から勤務時間中にセクハラ行為をされた場合には、会社に対しても使用者責任を問えることになり、セクハラ行為者個人と会社は、被害者に対して連帯責任を負う事になります。
会社には、労働契約上の付随義務として、信義則上、「被用者にとって働きやすい環境を整える義務」があるので、債務不履行の責任もあるという判例もあります。
 損害の内容としては、心身症(多くはPTSD)の治療費、休業損害(セクハラを原因とした心身症などによる稼動不能に基づく損害)、慰謝料などが認められます。そのうちで大きなものは休業損害であり、被害女性は、セクハラがなかった場合には、その職場で稼動を継続し、または職場を替えて同程度の仕事に就いて収入を得ていた筈ですから、就労を辞めざるを得ない時から復帰できるまでの期間(2~3年程度のケースが多い)についての逸失利益を請求できる事になります。
慰謝料については、判例では損害の総額という面から考慮されるため、休業損害として多くの金額を認めた場合には、慰謝料そのものは少なくなると思われます。
 また、セクハラが労災と認定される場合もまれにありますが、その件数は少なく、被害にあった場合にはまず、民事上の問題として損害賠償請求を行なうのが一般的です。