Case Study

「貸し金庫の相続」 

貸し金庫の需要が増えている昨今、被相続人の死後、「貸し金庫」に多額の現金や有価証券が預けられていることがわかったが、相続人の誰がどのように分割などを出来るのか、といった問題がしばしば生じることがあります。
 まず、貸し金庫の中身の所有者と、貸し金庫の権利者は異なります。貸し金庫は、銀行等が顧客に対して、有価証券、貴金属、権利証などの貴重品を保管するための保護函を提供し、顧客がこれに対して手数料を支払う契約であり、保護函についての、銀行と顧客との賃貸借契約の性質があります。
 被相続人の保護函の賃貸借上の権利は相続人に引き継がれますが、中身である有価証券や現金などが相続財産であるとは、直ちに断定できません。被相続人が第三者から預かったものであるという可能性もあるからです。
そこで銀行等では、貸し金庫の利用者死亡の連絡があった場合には、おおよそ次のような手続きをとります。①貸し金庫の開庫停止。②貸し金庫の解約手続。この際には、相続人全員または、相続人全員の総意により相続人代表が解約手続とあわせて収納品の引き取り手続きも行ないます。③入庫(収納)品の点検。一般的には、相続人代表が行ないますが、遺言執行者が、財産目録の作成、相続の承認・放棄の手続の前提として、入庫品の点検を、②とは別途に行うことがあります。
 上記により銀行から引き取った現金、有価証券などについては、これが被相続人のものである事を確認した上で、相続財産として協議により分割する事になります。