Case Study

「特別受益」

例えば父親が死亡して、母親と子供達が相続人になった場合、長男のみが、特別に父親からマンションを購入して貰ったりしたことがあった場合には、長男は法定相続分から「特別受益分」を差し引し引いた分の財産しか貰えないはずだ、との言い分が他の相続人から出される場合があります。
 父親(被相続人)からの特別な支出が、特別受益に当たるかどうかは、被相続人の資産や収入、支出時の生活状況などから判断します。支出した時に、多額の資産を有していて、親として特に大きな負担ではないという場合には、扶養義務の範囲内として、多少の兄弟間の不平等があったとしても、特別受益とはいえないという判断になります。
また、子供達全員に平等に財産を与えたりした場合には、特別受益は成立しません。通常、特別受益とされているのは、次のような場合です。
①   特に子供のうち1人だけが海外留学をして、多額の学費を支出した場合。
②   住宅用の不動産を贈与したり、購入資金を援助した場合。
③   遺産の土地上に、相続人の1人が建物を建てて、無償で土地を使用している場合。建物の使用について、使用借権相当額の土地の財産の減少があるとされ(更地価格の10~20%)、その分が特別受益とされます。
④   遺産が建物であり、建物に相続人の1人が無償で住んでいた場合。③と同様に、建物の使用借権相当額分が、特別受益とされます。
⑤   生命保険金を受け取った場合。但し、保険料(掛金)を受取人が支払っていた場合には、これが考慮されます。例えば保険料の支払総額のうち半分を受取人が支払っていた場合には、受取保険料の50%が特別受益とされるというのが通説的見解です。また、養老保険契約に基づく死亡保険金は、原則として特別受益に当たらないとする最近の判例もあります。
特別受益について争いがあれば、遺産分割の話し合いの中で解決することになりますが、家庭差裁判所の調停等で互いに合意ができれば、特別受益分を一度遺産の範囲に戻し、分割の際に、特別受益分を取得した人については、その分が差し引かれるという方法が通常です。