Case Study

「遺産分割の無効」

長い間の協議を経て遺産分割がまとまり、ようやく財産分けが済んだ、とほっとしていたところで、この遺産分割協議は無効なので財産を返せ、などと主張される場合があります。
まず考えられるのは、相続人が漏れていたということです。例えば、遺産分割の際に、長期間にわたり所在不明で、失踪宣告により死亡したと扱われていたものが、その後生存が判明して失踪宣告が取り消され、相続人と認められことがあります。まれな話ですが、この場合には、既に遺産分割によって得た財産を費消してしまった場合には、その部分は返さなくて良いという定めがあります。
また、相続開始後に、認知の裁判によって、婚外子が被相続人の子であることが確定された場合や、同様に、親子関係確認の訴えなどによって、新たな相続人が登場した場合です。この場合はしばしば深刻な問題が生じることになります。例えば、夫の遺産の不動産を、妻とその子供で相続し、不動産に居住していたところ、婚外子が現れ、居住中の不動産について権利を主張され、不動産を売却して精算してくれといわれた場合には、居住していた妻子は大変困ることになります。そこで民法は、原則として、この妻子は相続持分の価格相当を、金銭で支払い賠償することもできるとの定めをして救済しています。
またこれらとは反対に、妻と亡夫の婚外子が、相続人として遺産分割協議をした後に、DNA鑑定などにより、婚外子について、親子関係の不存在が確認されたような場合にはどうなるでしょうか。亡夫の父母が生きていれば、第2順位の相続人となりますが、いなければ、亡夫の兄弟姉妹等と妻で遺産分割をやり直さなければなりません。
遺産分割協議を相続人同士で行なったが、後から思わぬ相続人が現れ、大変な紛争が生じたという実例もあります。遺産分割協議が家庭裁判所の調停や審判により成立した場合には、事前に徹底的に「相続人の範囲」の調査が行われるため、このような紛争を防ぐことが出来ます。